連日スタンディングオベーションが巻き起こり、伝説となった時代活劇『蛮幽鬼』が、ついにゲキ×シネとなって登場。
壮大な人間ドラマを深みのある音楽にのせ、激しい殺陣や大がかりな照明・映像など迫力の演出で魅せる《いのうえ歌舞伎》。
『阿修羅城の瞳』(2000年・2003年)『アテルイ』(2002年)『朧の森に棲む鬼』(2007年)に続き、歌舞伎の殿堂である新橋演舞場という大舞台で2009年に上演した時代活劇『蛮幽鬼』。
『蛮幽鬼』のモチーフとなっているのは、デュマ作の『モンテ・クリスト伯』(巌窟王)。
劇団☆新感線の座付き作家である中島かずきが、陰謀渦巻く架空の古代国家を舞台に、繰り返される過ちへと導かれる人間の業を深くえぐり出す壮大な復讐譚として描いた。その終わることのない復讐をめぐる人間ドラマを演出のいのうえひでのりが、繊細かつダイナミックに大舞台に立ち上げた。
連日超満員、毎公演拍手喝采に包まれた本作を、最新のデジタルシネマ技術によって収録。
舞台では見落としがちなシーンも立ち上がらせ、大胆にかつ細かな部分にまでこだわって入念に編集、ゲキ×シネとして生まれ変わった。
映画館用に再調整された音が重ねられ、舞台とはまた違った迫力と興奮、そして新たな感動が味わえる。
主人公となる復讐の鬼《伊達土門》を演じているのは、『天保十二年のシェイクスピア』『SHIROH』に続き、いのうえ演出作品3度目の主演となった上川隆也。復讐に至った悲しみや怒りの表情が、スクリーンから溢れんばかりの迫力で観られる。
謎の殺し屋《サジと名乗る男》には、映画『ゴールデンスランバー』『南極料理人』などでの主演が記憶に新しい堺雅人。不気味に微笑みを浮かべながら、激しいリズムに合わせて鮮やかに人を殺めるシーンは、圧巻というほかない。
大王の妃《美古都》を演じたのは、ドラマ『篤姫』『アイシテル〜海容〜』など映像界での活躍がめざましい稲森いずみ。凛とした中に秘める芯の強さが表れるシーンは、思わず涙が零れるほどに哀しく美しい。
妃の護衛に命を掛ける《刀衣》役には、大衆演劇界の若きスターで現代劇や映像などにも出演、活躍の場を広げている早乙女太一。劇場中が熱い吐息で包まれたほど多くの観客を魅了した華麗な舞と圧倒的な殺陣のシーンは、スクリーンで存分に堪能できる。
あわせて出演しているのは、新感線の舞台には欠かせない橋本じゅん、高田聖子、粟根まことなどのおなじみのメンバー、様々な舞台で存在感を強烈に放っている千葉哲也、山本亨、山内圭哉。彼らの厚みある演技が、ドラマに深みを持たせている。
見どころを挙げればキリがない。
舞台ではなかなか味わえない俳優たちの細かい表情や、観逃しがちな多くのギミックを、大スクリーンで再発見することができる。
物語に渦巻く人間の業を目の当たりにして湧き上がる感情に、身を沈めて欲しい。
photo by キセキ
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